ミス・マープルは、事件とはなんの関係もなさそうに思える噂話や自分の古い知人の話、その昔セント・メアリ・ミード村で起きたできごとなどを事件の断片に重ね合わせ、人間観察力と洞察力を活かしてさらりと真相を暴いてしまうのです。彼らはしだいに、ミス・マープルの推理の虜になっていきます。, 短編小説集『火曜クラブ』では、ミス・マープルが初登場する表題作をはじめ、セント・メアリ・ミード村を舞台にマープルが推理を繰り広げる13の短編が収録されています。セント・メアリ・ミード村で起こる事件の数々は、トリックの大胆さや謎の切れ味で比べると、他のクリスティー作品よりもささやかなものが多いです。しかし、人間の深層心理やさりげない会話が事件の鍵を握るミス・マープルシリーズには、ポアロシリーズや名作長編とはまた違った唯一無二の魅力があります。, クリスティーは85年の生涯の中で、長編小説だけでも60作品以上、中・短編も含めると220作以上のミステリ小説を世に出しました。そのどれもが「ミステリの女王」という呼び名にふさわしい名作ですが、今回ご紹介したクリスティーの4作品はどれも、とにかく、まずはこれだけ読んでおけば間違いない! という歴史的傑作です。, ポアロやミス・マープルをはじめとする名探偵たちの登場作品から読むか、『そして誰もいなくなった』のようなミステリの金字塔から読むか、それ以外の短編集から読むか──。クリスティー作品はどんな読み方をしても、思いもよらない大胆なトリックと息をつかせない展開で読者を驚かせてくれます。まだクリスティー作品に触れたことがないという方は、ぜひ今回ご紹介した4作品を入り口に、ミステリの女王が見せる極上の謎を味わってみてください。, NHKの大河ドラマ『いだてん』でも注目の落語家・古今亭志ん生。稀代の大名人と称され、今もカリスマ的人気を誇るその人生は、実に波乱に満ちたものでした。結城昌治『志ん生一代』は、貧乏と不遇を経て五代目・志ん生を襲名するに至るまでの軌跡をドラマチックに描いた傑作長編。爆笑問題・太田光氏による、志ん生への“思い”を込めた解説を公開します。, 人それぞれに青春時代があったように、青春小説もさまざまな形での青春を描いています。瑞々しいあの頃を思い出すきっかけとなるであろう、青春小説を紹介します。, 石井遊佳『百年泥』、若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』の受賞が決定した第158回芥川賞。その受賞候補となった5作品を、あらすじとともに徹底レビューします!, 三姉妹・四姉妹を描いた小説は、多くの作家によって手がけられています。二人姉妹とは一味違った、華やぎ、嫉妬、競争、連帯。キャラ立ちした姉妹たちのプロフィールを知れば、「これはきっと私のことだ!」と思えるような主人公に出会えるはずです。そんなおすすめ小説を紹介します。, 『背高泡立草』で第162回芥川賞を受賞した古川真人。デビュー作以来、これまで4度の芥川賞候補入りをしている実力派です。今回はそんな古川真人のおすすめ作品を、3作品ご紹介します。, 映画『屍人荘の殺人』が2019年12月13日より全国公開されます。『屍人荘の殺人』の原作は、小説家の今村昌弘による同名のミステリ小説。今回は、『屍人荘の殺人』の読みどころとともに今村昌弘作品の魅力をご紹介します。, いつ何が起こるかわからない現代。死の淵から蘇り、生きる人を襲うゾンビが現れる、未曾有の危機でも生き延びるための方法を、クイズをもとに学びましょう。果たして、あなたの生存率は何%になるでしょうか。, 菅原孝標女が『源氏物語』に夢中だった少女時代を振り返って書いた『更級日記』。半ばオタク女子でもある菅原孝標女の一生を、現代のオタク女子の行動と合わせて解説します。, 堅苦しいイメージの強い「ビジネス書」が、もし「詩」だったら──? この連載では、『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(共著・神田桂一)シリーズがメガヒットを記録しているライターの菊池良さんに、ビジネス書の内容を要約・凝縮し、自由詩に変換してもらいます。第4回のお題は、『金持ち父さん 貧乏父さん-アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』(ロバート・キヨサキ/シャロン・レクター 共著、白根 美保子 訳)です。, なにかに落ち込んだとき、“元気の出る言葉”ではなく、無理に背中を押されない、ちょっとネガティブで投げやりな言葉がほしくなる人も多いのではないでしょうか。今回は、なにかに躓いたとき、「まあ、しばらくは立ち直らなくてもいいや……」と思えるような本を4作品ご紹介します。, 2016年にマーティン・スコセッシ監督によるハリウッド映画化が決定した遠藤周作の『沈黙』。キリスト教文学として海外でも高い評価を得ているその魅力に迫ります。, 僧侶とは、出家して仏門に入った人のことです。たくさんの生死に直面する僧侶だからこそ、その人生経験の豊富さから、ときに人々の悩みを聞き、命の大切さについて説いてくれます。いつかは必ず訪れる大切な人との離別……。人生の本当の意味や、命との向き合い方について深く理解するためにも、一日一日を大切に送る心構えが身につく5冊をご紹介します。, 伝統ある総合文芸サークル、ワセダミステリクラブが、「変態探偵」の活躍するミステリ小説20選を発表!とんでもない奇癖の持ち主から、いぶし銀の天才まで、あなたはどの小説に興味を持ちますか?, 2017年12月8日に公開され、話題を集めている映画『オリエント急行殺人事件』。今回は原作小説のあらすじと作品にまつわるトリビア、そしてクリスティ作品における本作の立ち位置などについて、4つの視点で紹介します。, 2019年3月、埼玉県飯能市にある北欧風テーマパーク「メッツァビレッジ」の中に、「ムーミンバレーパーク」がオープン。こどもだけでなく大人のファンも多いムーミン作品に込められた、作者・トーベ・ヤンソンが人々に伝えたかったこととは? 個性豊かなキャラクターたちの、胸に突き刺さる名言を紹介します。, 大好きな人にすでに特定のパートナーがいるとき、相手を“略奪”する──というのはひとつの方法です。近代から現在に至るまで、文学作品の中には、そんな「略奪愛」を赤裸々に描いた名作が数多く存在します。今回の文学恋愛講座では、3つの文学作品を教科書に、後悔しないための「略奪愛」の作法を解説していきます。, 警察キャリア官僚・吉良大介を主人公とした新シリーズ『DASPA 吉良大介』を上梓した作家・榎本憲男氏と経済産業省の現役官僚で評論家の中野剛志氏が「霞ヶ関のリアル」を本音で語った。「コロナ」という非常事態に直面したいま、「日本」はどうあるべきなのか?全3回でお届けします。, ライトノベル(=ラノベ)の多くは、ファンタジーの世界で魔法を使ったり、学園ものでも超能力や巨大ロボが登場します。では、魔法や超能力などの非現実的要素がないラノベとはどんなものでしょうか?, 映画『シン・ゴジラ』の熱狂が冷めやらぬ今日この頃。1954年に発表された『ゴジラ』第1作もまた、世間に多大なインパクトをもたらしました。三島由紀夫や武田泰淳といった同時代作家たちの作品から、その影響について探ります。, Facebookページへいいね、Twitterをフォローすることで、P+D MAGAZINEの最新記事をSNSでお届けします。, △ 0. line共有ボタン; 2020年4月3日 18時0分. > 芸能 アガサ・クリスティー生誕130年!『名探偵ポワロ』がnhk bsプレミアムにて4月4日(土)スタート . 九人のインディアンの少年がおそくまで起きていた 2020年は、ミステリの女王、アガサ・クリスティーの生誕130周年にあたる年です。これまでクリスティー作品をあまり読んだことがないという方に向けて、『オリエント急行殺人事件』、『そして誰もいなくなった』といった代表作の読みどころをご紹介します。 【生誕130周年】アガサ・クリスティーのおすすめ作品 | P+D MAGAZINE TOPへ. 一人が寝すごして、八人になった ュー・グードがヴァンパイアに!禁断の愛を描くファンタジー・ラブロマンス日本初上陸, © NANO association co.,ltd. 八人のインディアンの少年がデヴァンを旅していた ニューストップ 一人がそこに残って、七人になった……, 招待客たちは不穏な雰囲気を感じつつも、晩餐を始めます。すると突如、蓄音機から謎の声が響き始め、ロジャース夫妻を含む10人全員が、殺人の嫌疑を受けている──と告げるのです。事態の異様さに気づいた何名かは心当たりのあることについて口を開き始めますが、中には断固として協力しようとしない人物もいました。そのひとりであるマーストンは非日常の事態を面白がり、「犯罪に乾杯」と言ってウイスキーを一気に飲み干しますが、直後に窒息し、苦しみながら死んでしまいます。なんと、ウイスキーの中には青酸カリが含まれていたのでした。, マーストンの死を皮切りに、島に閉じ込められた10人は、子守唄のフレーズをなぞるように1名ずつ順番に殺されていきます。この恐るべき殺人の糸を陰で引いているのは誰なのか、なぜ子守唄の通りに殺さなくてはいけないのか、10人は皆、本当に罪人なのか──。第1の殺人から最後まで一瞬たりとも目が離せない展開が続く、ミステリの教科書のような作品です。, 出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4151300546/, クリスティー作品の名探偵といえばもちろんエルキュール・ポアロ、という方も多いかもしれませんが、彼女は他にも魅力ある名探偵を生み出しています。そのひとりが、ロンドンから離れた田舎町、セント・メアリ・ミード村に住む独身の老婦人、ミス・マープルです。, ミス・マープルは一見、庭いじりや編み物を愛する、おしゃべり好きなどこにでもいるおばあさん。しかし、ひとたびセント・メアリ・ミード村でなんらかの事件が起こると、彼女は名探偵としての手腕を余すところなく発揮します。, ある日、ミス・マープルの甥であるレイモンドが、“火曜クラブ”と名づけた会合を彼女の家で開きたい、と提案します。レイモンドは作家で、“火曜クラブ”とは、集まったメンバーそれぞれだけが知っている怪事件の真相について全員で語り合い、推理するクラブなのだと話します。, 会合にはスコットランド・ヤードの元警視総監や弁護士、画家などさまざまな職業の人たちが集まりますが、はじめは皆、ミス・マープルのことをただの話好きのおばあさんだと気にも留めません。しかし、元警察総監が語り始めた不可解な事件の真相に自力でたどり着くことができたのは、メンバーの中でただひとり、ミス・マープルだけでした。 all right reserved, アガサ・クリスティー生誕130年!『名探偵ポワロ』がNHK BSプレミアムにて4月4日(土)スタート. クリスティーは1920年、長編小説『スタイルズ荘の怪事件』でデビューし推理作家としてのキャリアを歩み始めましたが、このデビュー作から登場していたキャラクターがかの有名な私立探偵、エルキュール・ポアロと助手のヘイスティングズです。, ポアロの探偵としての活躍を、語り手であるヘイスティングズが自身の手記を通して伝える──というスタイルが2作目の『ゴルフ場殺人事件』まで続きましたが、ポアロシリーズの3作目にあたる本作では、ポアロの隣人であるジェイムズ・シェパード医師が語り手を務めるという形式をとっています。, 事件の発端は、ポアロやシェパード医師が住むキングズ・アボット村のフェラーズ夫人が亡くなったこと。夫人の検死を担当したシェパード医師は、死因は睡眠薬の過剰摂取であると判断します。しかしシェパード医師は、フェラーズ夫人が再婚間近と噂されていた村の大富豪、ロジャー・アクロイドから、「夫人は過去に夫を毒殺しており、そのことで何者かから恐喝を受け続けていた」と打ち明けられます。誰に恐喝を受けていたのかを告発するフェラーズ夫人の手紙がロジャーのもとに届いたその晩、ロジャーは何者かに刺殺されてしまいます。, 実は、事件の犯人は、語り手であるシェパード医師自身でした。本作の中で、シェパード医師は読者に対し嘘はついていないものの、ロジャーの刺殺にまつわるシーンをわざと曖昧に描写することで自身が犯人であると悟られないようにしています。「信頼できない語り手」を主軸に置きつつ叙述トリックを用いるというこの手法は、『アクロイド殺し』が発表された1920年代には非常に斬新なものでした。本作をめぐり、語り手自身が犯人であるというトリックがフェアかどうかという論争が巻き起こったものの、エラリー・クイーンや江戸川乱歩などは、このトリックを支持しています。, 本作は、推理作家としてのクリスティーの知名度を押し上げたばかりでなく、現在もミステリファンから歴史的名著として名前を挙げられることの多い作品です。, 出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4041064511/, 『オリエント急行殺人事件』は、クリスティーが1934年に発表した長編小説です。エルキュール・ポアロシリーズの8作目にあたる本作は、クリスティーの代表作として広く知られており、現在においても世界各国でテレビドラマ化、映画化され続けています。, 事件の舞台は、エルサレムで事件をひとつ解決し、仕事を終えたばかりのポアロがイスタンブールからロンドンに帰るために乗った寝台列車、オリエント急行。真冬だというのに、なぜかその日の寝台車は満員でした。ポアロが昼食をとっている最中、「金をはずむから私の護衛をしてほしい」と金持ちのアメリカ人・ラチェットが依頼を持ちかけてきますが、ポアロはその男の雰囲気に嫌なものを感じ、護衛を断ります。 映画総合, 人気作家アガサ・クリスティーが生んだベルギー人名探偵が活躍する英国ミステリー『名探偵ポワロ』。英ITVで1989年に始まり、今も世界中で愛される同作が、4月4日(土)17:10よりNHK BSプレミアムでスタートする。, 2020年は、作者クリスティーの生誕130年。それを記念し、毎週土曜の夕方にハイビジョンリマスター版で第1シーズンから第6シーズンまでの計45回が放送されることになった。, 主人公のエルキュール・ポワロは、元はベルギー警察で働いていたが、第一次世界大戦により英国へ亡命して私立探偵に転職。自らの並外れた知能を「灰色の脳細胞」と呼び、どんな時も大きな口髭をピシッと整え、全身をおしゃれに固める彼は、泥まみれの田舎道もピカピカのエナメル靴で歩くという風代わりな探偵だ。事件の関係者との対話や心理学を通して、事件の真相を解き明かしていく。そんなポワロの冴えわたる推理はもちろん、彼を支える人々――相棒のヘイスティングス、ロンドン警視庁のジャップ警部、有能な秘書ミス・レモン――の奮闘する姿も必見。, ポワロを演じるのはデビッド・スーシェ、日本語吹き替え版は熊倉一雄。デビッドは舞台出身俳優としての緻密な役作りでポワロの几帳面さと鋭さを、熊倉は柔らかく和やかな口調でポワロの変人ぶりとシニカルな部分をうまく際立たせている。様々な俳優がポワロを演じてきたが、このデビッド×熊倉の組み合わせが一番しっくりくるという人も多いだろう。また、英国ドラマらしく各エピソードのゲスト俳優も豪華。現在映画やドラマですっかり人気の俳優が犯人、容疑者、被害者役などで出ているので、端々のキャストもお見逃しなく。, 有名なトリックは長編が多いものの、実は短編にも秀作が揃うポワロシリーズ。特にこのドラマ化では『刑事フォイル』のアンソニー・ホロヴィッツ、『SHERLOCK/シャーロック』のマーク・ゲイティスらも脚色に関わっていることもあって原作よりドラマティックになっているものが多く、謎解き以外の面も含めて楽しむことができる。, ハイビジョンリマスター版『名探偵ポワロ』は4月4日(土)17:10より放送。(海外ドラマNAVI), アガサ・クリスティー生誕130年!『名探偵ポワロ』がNHK BSプレミアムにて4月4日(土)スタート, スペシャル番組『さよならポワロ〜世界が愛した名探偵・25年の軌跡〜』、AXNミステリーにて9月18日(金)放送, ファン待望の『名探偵ポワロ』初ブルーレイBOX、豪華仕様で11月3日(火)より発売!.